院長が語る、桜十字のこれから
桜十字病院 院長
倉津 純一熊本大学名誉教授
元熊本大学医学部附属病院長
2016年より桜十字病院にて現職
毎日を発見の連続に職員が夢を持って働き、日本を代表する病院を目指す。
桜十字病院が担う役割と今後の展望
地域において当院が担う役割は何でしょう?
当院は630床と大きなケアミックス型病院です。高齢化社会において地域包括ケアシステムの重要性が叫ばれるなか、回復期、慢性期、介護といった急性期から在宅に至る分野を担う当院は欠かせない役割を担っています。今後、その役割にはますます重きが置かれるでしょう。なぜなら、長寿社会となった昨今では「ただ長く生きる」だけではなく、「健康長寿」を期待するニーズが高まっているからです。
今後の社会では慢性期医療の充実がより大きな意味を持ってくるということですね
もちろんです。慢性期を”急性期の下請け“のように捉えている方もいると聞きますが、決してそうではなく、地域包括ケアシステムの中核を担っています。慢性期医療に携わる皆さんはぜひ自信を持ってください。とくに当院には慢性期医療を支える人材も育っています。ゆくゆくは日本における “高齢者の健康長寿を支える病院”のモデルになり、日本と同様に高齢化社会が問題視されているアジア諸国にも展開していきたいですね。
従来の慢性期医療にとどまらない革新的な視点
当院はこれからどのような医療を目指すのでしょうか。
これからの社会においては、従来の慢性期医療より発展的な取り組みをしていかなくてはいけません。今まで、高齢者の医療といえば、経管栄養や、気管切開して人工呼吸器をつけて維持するのが当たり前のように考えられていました。そこから離脱して、患者さん一人ひとりが「普通の生活を行える」ことに着目し、それをサポートする医療体制を構築していきたいと思います。
現在はどのような活動を実施していますか?
人工呼吸器を外す取り組み※や「口から食べるプロジェクト※」、自動車運転再開支援※など、患者さんの社会復帰を支援するプログラムを整備しています。
そうしたアイデアはどこから提案されているのでしょう?
現場のスタッフから提案されますね。こうしたアイデアを受け入れる体制が整っているのも当院の特徴のひとつです。
※人工呼吸器離脱についてはこちら
※口から食べるプロジェクトについてはこちら
※自動車運転再開支援についてはこちら
急性期経験者だからこそ生かせる知識・経験、慢性期病院だからこそ高められる専門性
急性期にいた医療者が慢性期で働く際に、それまでのキャリアや経験、知識は役に立つのでしょうか?
実は当院に在籍するドクター約30名のほとんどが急性期病院経験者です。とくに外科系の先生が多いですね。私自身も脳神経外科医です。外科医としての経験はかなり生かせています。たとえば脳ドックから脳の画像が送られてきたとき、手術に携わった経験が患者さんへの理解度を深めていると実感しています。私たち医師同様に、看護師の皆さんも急性期で培った経験は存分に活かせる現場です。
経験や知識を生かしつつ、キャリアアップできる環境ですね
そうです。「口から食べるプロジェクト」にしても、人工呼吸器離脱にしても、専門性が求められる分野、取り組みです。ほかにも皆さんが専門性を磨ける分野はたくさんあります。ぜひ看護師・コメディカルの皆さんには、これからも、より専門性の高い集団を目指してもらいたいですね。
求める人材について
現場のスタッフに求めることは?
安全な医療の実施が大事なのは当然として、それだけで満足せず「もっと良くしたい」と“夢”を持って欲しいですね。「私のケアでこの患者さんが食事できるようにしたい!」といった夢を抱いて日々を過ごしてもらいたいんです。そして常に新しい何かを発見してほしいと願っています。
最後にメッセージをお願いします
私は県内外のいろいろな病院を経験してきました。その中でも、当院のホスピタリティの高さはかなり優れています。これはもう変わることなく根づいている文化、風土だと思いますし、スタッフも穏やかな気持ちで働ける環境です。社員食堂や社員旅行など、福利厚生は私もびっくりするくらい充実しております(笑)。夢を持ち、日々、発見に努め、専門性を高めていける皆さんをお待ちしています。