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人としての尊厳を第一に考える、慢性期のやりがいと看護観

 

「慢性期病院で働き続けたい」と桜十字に転職を決めた下岡さん。自身でも「あまり悩みません!」と語るほど、ポジティブ精神旺盛でとにかく明るい彼女ですが、患者さまの尊厳や倫理的側面に対しては一切妥協しない一面を持ち、周りからは厚い信頼を得ています。慢性期病院で生き生きと働く下岡さんに、慢性期のやりがいと看護観について聞いてみました。

呼吸器病棟 病棟師長
下岡 美香
看護師歴11年目(2021年7月時点)
2018年入職
ヒューマニティケア1期生として、NICD看護技術のエビデンス構築に取り組んでいる。休日の趣味は、学生時代の友人との国内旅行。コロナ禍で旅行に行けない今、YouTubeを見て家時間を送っている。(YouTubeでは、部屋の内装やインテリアをよく見ているとのこと)
※NICD=生活行動回復看護

慢性期病院「桜十字」での看護について

慢性期病院の中でも、「桜十字病院」を選んだ理由は?

転職前は福岡で働いていました。熊本に帰って就職活動をする際に、以前と同じ障害者施設等一般病棟で働きたい、という思いがあって桜十字に決めました。決め手は、桜十字は花に囲まれていて、明るい環境だったこと。それと、面接で看護部長から“口から食べるプロジェクト”のことを聞き、興味を持って、ここにしよう!と決めました。
※口から食べるプロジェクト=以下、「クチタベ」

桜十字で働いてみて、自分の看護観に合っていると思うところを教えてください。

クチタベに代表されるように、人の基本的欲求を満たす看護をしようとしていること、患者さんの回復を諦めないところが自分の看護観に合っているなと感じました。慢性期って、患者さんやご家族の希望があり、しかしご希望に沿うには医療的なリスクがある、というジレンマによく陥るんです。

例えば、口から食べられるようになりたい・なってほしいのに、誤嚥性肺炎のリスクからストップがかかってしまうことは、一般的によく起こるんです。クチタベでは、「じゃあしょうがない」というのではなく、「どうすれば食べられるか」を考えます。そんな患者さんに寄り添う前向きな姿勢に共感しました。また、在宅復帰の道を閉ざさず、退院後の生活支援を行っているところも、やりがいを感じながら仕事ができる!と思いました。

患者さんにNICDを実施中。

一般的な慢性期病院のイメージとは違いましたか?

イメージとは全く違っていました! 慢性期となると寝たきりの方がどうしても多くなってきます。ですので、「安全に・安楽に過ごしていただく」「早期に異変を見つけて現状を維持!」というのが一般的な慢性期看護のイメージなんじゃないかと思います。これまでは、褥瘡予防や肺炎予防、尿路感染予防などに努めるのが慢性期看護だと思っていましたが、桜十字で働き始めて、患者さんの「今後」を考えて看護するようになりましたね。

ヒューマニティケア第一期生として

「患者さんの今後を考える」とは?

患者さんやご家族はどんな生活を望まれているのか把握することを大切にしています。その上で、患者さんを一人の「人」として見たときに、どんなイメージを持って回復へと支援できるか、患者さんが今よりもよくなるためには何をすればいいかを考えます。このような患者さんの尊厳を大切にしたケアを行う考えは、「ヒューマニティケア」で身に着けることができたと感じます。ヒューマニティケアは桜十字で2020年度よりスタートした自立支援型のリハビリテーション看護です。「この看護を学んでみたい!」と手を上げ、ヒューマニティケアエキスパート第1期生として学びました。

ヒューマニティケアの取り組みはいかがでしたか?

自宅に帰りたいという患者さんがいらっしゃったんですが、その方は、ベッドから車いすへの移乗に看護師2人で介助していました。NICDの看護技術を身に着けて実践したら、介助者と患者さん一人で移乗できるようになった!ということがありました。その方には4週間関わったんですけど、1週目から介助者一人での移乗ができるようになりました。この看護技術はヒューマニティケアで学んだので、桜十字に来たからこそ勉強できたことですね。

ヒューマニティケア1期生を経験して学んだことを教えてください。

看護学校で一番に習うのが、「人間の尊厳」や「人の基本的欲求」なんですよ。でも、一般的な慢性期では、寝たきりになれば回復の見込みは薄く、褥瘡予防や肺炎予防を中心とした現状維持に腐心するケアを行っていました。しかし、本当に取り組まなくてはならないことは、人間の基本的欲求である“トイレで排せつする”とか“口から食べる”とか、人としての尊厳の部分なんですよね。そこを忘れずにケアに介入していく、というところは考えが改まりました。改めて原点に戻って、何を大切にするべきか考えることができました。

ヒューマニティケアの実技講習風景。お互いに患者役をすることで、通常のケアとの違いも体感できる。

慢性期看護の難しさ・面白さとは

桜十字に来たことで成長できた部分や、やりがいを教えてください。

慢性期看護について成長できたと思います。病気を治すだけでなく、今後のその方の生活のためにどう関わったらいいかを、多職種で考えることがやりがいです。疾患別ではないので全体を見ないといけないし、更にその患者さんの家庭環境や周りの環境すべてを含めて把握した上でゴールを設定しないといけないので、そこが慢性期看護の難しさであり、面白さだと思います。

多職種で考えるということですが、桜十字のチーム医療はどうですか?

多職種の連携は本当に強いと思います。さまざまな職種のスタッフが専門的な視点から多角的に患者さまの今後の生活を考えていますね。桜十字に来て頻繁にカンファレンスを行うことで、看護の専門性について意識するようになりました。みんなで一人の患者さまを良くしようという気持ちが強く、同じ目標に向かって進んでいると感じます。

どんなカンファレンスがありますか?多職種連携って、どんな感じなんでしょうか?

当院ではカンファレンスを頻繁に行っています。例えば、リハビリカンファレンスにも全職種参加します。栄養科や薬剤師からソーシャルワーカーまで、全職種で在宅復帰や退院後の生活について考えます。カンファレンス以外にも、プライマリー看護師と担当のリハスタッフで、「ここもう少し看護師さんもできませんか?」とか、「ここのやり方教えてください」と聞き合うことはよくあります。職種を越えて密にコミュニケーションを取っていて、一体感があります。

病棟には多職種が常駐しており、情報共有を頻繁に実施。リハビリや薬剤、栄養と看護の連携も取りやすい。

桜十字では在宅復帰にも力を入れていますよね。

そうですね、在宅復帰される患者さんは結構多いです。介護量が多くても家で一緒に暮らしたいという方は結構いらっしゃるので、家で過ごしていただけるような準備や支援も行っています。患者さんがどうなりたいか、ご家族はどう思っているかをしっかりと聞きながら看護を行います。

在宅復帰に成功したエピソードを教えてください。

急性期から転院して来られた60代の方で、人工呼吸器・経管栄養から呼吸器を外して口から食べられるようになってご自宅に帰られた方がいらっしゃいました。その方は、人工呼吸器をつけて3カ月程経った状態で転院していらっしゃいました。人工呼吸器があるので話すことができず、鼻から栄養チューブを通して栄養補給をされていました。

まだまだお若くずっと仕事をされていた方だったので、これから家に帰って生活するのに、鼻に栄養チューブをつけたまま家にお帰しするのが本当に良いことなのかと考えました。まず、「患者さんは自分で声が出せるのではないか」と考え、声を出せるチューブに変更できないか検討の上、看護やリハビリを実践しました。変更できたら、痰の量が減るか減らないかを観察し、最終的にチューブを抜けるか抜けないかを多職種で考えて医師に相談し、進めていきました。

人工呼吸器をつけていたら声が出せませんし、コミュニケーションも取れません。もっと良い状態でご自宅へお帰ししたい!という一心でした。

今後の課題、慢性期看護に興味がある方へメッセージ

看護師として、さらにがんばっていきたいことは?

ヒューマニティケアをさらにがんばっていきたいと思っています。患者さん自身の力を諦めず、生きるを満たす看護を提供したいです。そして、この考えを病棟全体にシェアしていきたいと思っています。今年はヒューマニティケア2期生が病棟から3人出るんですよ。これからも毎年必ず病棟から3人ずつは出したいと思っています!

とにかく、スタッフみんなにヒューマニティケアの考え方を知ってほしくて…。看護学校では尊厳や基本的欲求が大切だと習うのに、現場や実習などに出ると現実はそうじゃないことにギャップを感じる人って多いと思います。ヒューマニティケアは、基本的欲求を自分の力で満たせるように回復させ、尊厳を取り戻す看護ですが、まだまだ世の中に浸透してはいません。自分たちの手で患者さんをもとの姿に戻すという看護があることが、看護学校で習えるようになればいいな、と思います。世の中に浸透するためには、実践している病院がコツコツとエビデンスを積み上げていくことが大事だと思います。私たちもその一端を担って、がんばっていきたいです!

最後に、慢性期の看護に興味がある方へメッセージをお願いします!

老年期に興味がある人は、まず慢性期で現状を見てほしいです。慢性期で学べることはたくさんあるし、現実を知ってもらえると、かなり勉強になると思います。また、当院のヒューマニティケアは、患者さんの尊厳を大切にしたケアです。自分の手で患者さんの回復を支援できることは、看護師にとってなによりのやりがいになります! 急性期を脱した慢性期では、長いスパンで患者さんの生活を見通す必要があります。「人としての幸せ」を第一に考えて看護ができる、それが慢性期の看護の素晴らしさだと思います!


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患者さんに寄り添う看護がしたい看護師さん、ぜひ当院で働いてみませんか?

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