一人ひとりの希望に寄り添う、緩和ケア病棟のリハビリ。
リハビリテーション部
作業療法士 竹下 将
熊本県合志市出身。熊本駅前看護リハビリテーション学院を卒業後、2016年4月に新卒で桜十字病院に入社。現在入社8年目。社内のフットサルサークルの中心メンバーとしても活躍中!
(記事公開時点の情報です)
希望を出し続け、念願の緩和ケア病棟へ
これまで経験してきた病棟を教えて下さい。
現在の緩和ケア病棟だけでなく、在宅復帰強化型療養病棟、回復期リハビリテーション病棟、デイケアでの勤務も経験しました。
入社1・2年目に緩和ケア病棟へ配属された後はさまざまな病棟での経験を経て、やっぱり緩和ケア病棟が自分に合っているんじゃないかなと思って毎年希望を出していて、緩和ケア病棟に戻ってきました。
緩和ケア病棟はどんな雰囲気の病棟ですか?
終末期に近い方が多く入院されているため、医師や看護師は下手に空元気を見せるのではなく、患者さま一人一人に寄り添う丁寧な接し方をしている印象があります。だからこそ自分も患者さま一人一人に丁寧に接していこうと思えるような、とても穏やかな雰囲気の病棟だと思います。
ターミナルを意識するのは他の病棟にはあまり無い点ですよね。
そうですね。もちろん退院支援に繋がる患者さまもいらっしゃいますが、予後を伝えられて入院してくる方も多いので、そのような点には気を配っています。
今緩和ケア病棟には何人のセラピストが所属していますか?
3人が所属しています。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が1人ずつ所属しており、言語聴覚士は他の病棟との掛け持ちになっています。
ご本人の希望を一番大切にするリハビリ
緩和ケア病棟はどのようなリハビリをしていますか?
基本的には他の病棟と変わりはありませんが、終末期が近い方がいらっしゃるので、患者さま本人の希望を一番大事にするようにしています。例えば、運動したいと言われれば運動ができるようプランを立てますし、逆にそっとしておいてほしい、体をほぐしてほしいと言われればそのようにします。また、レクリエーションなどで人と関わりたいとおっしゃる方もいらっしゃるので、希望に添えるよう企画をしています。
患者さまの希望はお一人お一人全然違いますよね。
違いますね。病院で最期を迎えることになるだろうと感じている患者さまでも、もう一度家に帰りたいと心のどこかで思っていることは少なからずあります。そのような希望を自分の口で言い出せない方には、こちらから引き出せるようにしています。過去に、どうしても仏壇にお参りしたいという方がいらっしゃいました。どうにか帰れないかと医師と話し合い、最終的に仏壇にお参りすることができました。ご本人にもとても喜ばれて、やりがいを感じました。
患者さまからの希望は、他にどんなものがありますか?
お刺身が食べたい、ラーメンが食べたいなどの希望は多くあります。そのような要望には、医師・看護師・ソーシャルワーカーの協力が必要なので、連携して希望を叶えられるようにしています。
他の職種と連携は密にとっていますか?
そうですね。日々の変化が著しい方が多いので、昨日元気だったのに次の日にはかなり病状が進行してしまっているということもあります。医師や看護師とは日々の状態変化の情報交換は必ず行うようにしています。他職種にリハビリの時はこうでした、と伝えたり、夜勤の看護師から夜間の患者さまの様子を聞いたりしています。
苦労する点・大変だと思う点はありますか?
患者さまが亡くなるということに直面して寂しいと感じることは多いです。また、いつ病状が急激に進行するか分からない状況で、うまくリハビリが進まない時には苦労するなと感じます。自分はもっとこうしたいんだけど、患者さまはいやそこまでは、とか。
人によっても、日によっても違うんですね。
回復期病棟などだと、入院の期間が決まっているので嫌でもリハビリをしてもらわないといけないのですが、緩和ケア病棟だと入院の期限も無いので、計画通りにリハビリが進まないことが多いです。他の病棟では身体機能のリハビリがメインですが、緩和ケア病棟では精神・心理面のケアの方が重要かもしれません。
緩和ケアのリハビリにおいて、やりがいを感じるのはどんな時ですか?
患者さまから「あんたが来てくれるとすごく楽しい、あんたが担当で良かった」と言われることがあったので、そういった時にはやっていて良かったなと感じます。自分が日々やっていることが報われたなと実感できる瞬間かなと思います。
今後の抱負を教えて下さい。
変わらずですが、患者さま、ご家族に信頼していただけるセラピストになるのが一番だと思っているので、日々精進していきます。